GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療薬のみならず、近年では肥満症の治療薬としても注目を集めています。
肥満患者に対するGLP-1受容体作動薬の体重減少は10~20%と、一定の効果量を有しており、、世界的にも処方量が増加傾向にあります(Jensterle M, et al. 2022;PMID: 35503498/Sarma S, et al.2022;PMID: 36321278/Abrahami D, et al.2023;PMID: 37395339)。
一方で、GLP-1受容体作動薬における潜在的な有害事象リスクに関するデータも蓄積され始めており、特に消化器系の有害事象については一定の配慮が必要かもしれません。
【参考】抗肥満薬として注目されるGLP-1受容体作動薬!気になる副作用に関するエビデンスをアップデート!
【参考】需要が急増するGLP-1受容体作動薬、その潜在的な有害事象リスクは?
体重減少に対するGLP-1受容体作動薬の効果は、主に胃内容物に対する排出速度の遅延によるものだと考えられています。しかし、このような作用機序が、周術期における麻酔投与時の誤嚥リスクにつながる可能性も指摘されています(Sherwin M, et al.2023 ;PMID: 37466909/Raven LM, et al.2023;PMID: 37567375)。
今回の記事では、周術期におけるGLP-1受容体作動薬の安全性について、文献的考察をしたいと思います。