良く知られているように、内因性のGLP-1はDPP4によって急速に分解されてしまいます。2型糖尿病の治療薬として臨床応用されているGLP-1受容体作動薬は、化学的な修飾を行うことでDPP4に対する安定性を高めており、現在では週1回投与を可能とした長時間作用型製剤が主流です。
週に1回投与を実現したGLP-1受容体作動薬は、高い治療アドヒアランスの維持が期待できます(Gentilella, et al. 2019; PMID: 30156747/Weeda, et al.2021; PMID: 33527605)。
近年ではまた、GLP-1作動薬の体重減少に対する効果が注目されています。肥満患者1961 人を対象としたSTEP 1試験(Wilding, et al.2021;PMID:33567185)では、セマグルチドを週1回投与することで、プラセボの投与と比べて、68週までの体重が12.4%[95%信頼区間13.4~11.5]減少しました。
そのため、長時間作用型のGLP-1受容体作動薬は、臨床における処方頻度のみならず、美容を目的とした使用にも関心が集まっています(Watanabe, et al.2024; PMID: 37821008/Iketani&Imai.2023; PMID: 37005303/Han, et al.2023; PMID: 37402640)。
糖尿病治療薬というよりはむしろ、抗肥満薬としての存在感を強めているGLP-1受容体作動薬ですが、その潜在的な有害事象リスクも軽視できません。過去の記事でも、同薬の有害事象について取り上げてきました。
【参考】需要が急増するGLP-1受容体作動薬、その潜在的な有害事象リスクは?
【参考】セマグルチドやリラグルチドで精神系の有害事象が増加する!?
今回の記事では、GLP-1受容体作動薬の有害事象の中でも、消化器系有害事象および精神系有害事象について、最新の研究報告をご紹介します。