ランダム化比較試験のような実験的環境下で観察される治療薬非特異的な効果は、一般的にプラセボ効果と呼ばれます。
一方で、実際の臨床現場における治療非特異的な効果は極めて多因子的な現象であり、プラセボ効果というよりはむしろ、文脈効果(contextual effect)と呼んだ方が実態を適切に表現しているかもしれません(Doherty&Dieppe.2009; PMID: 19410027)。
【参考】薬の効果は文脈依存!? 侮れない文脈効果とその影響
また、近年では薬の服薬を想像するだけで治療効果が得られる可能性が注目されており、「想像上の薬」がもたらし得るプラセボ効果をイマジナリー・ピル(Imaginary Pill)と呼びます。
【参考】薬の服薬を想像するだけで治療効果が得られる!?イマジナリー・ピルとは?
文脈効果やイマジナリー・ピルの実在が示唆することは、薬剤効果の大部分が「気の持ちよう」で変化し得る可能性です。
一方、人の健康状態は「気」の持ちようで変化し得るのものなのでしょうか。「病は気から」などという言葉もありますけど、片頭痛患者における病識と臨床アウトカムの関連性を検討した研究論文がJAMA Netw Open誌に掲載されました(May, et al.2024; PMID: 38656579)。今回の記事では、Mayらの研究報告をレビューし、患者報告によるアウトカムと病識がもたらすバイアスの可能性を考察します。