薬の効果は文脈依存!? 侮れない文脈効果とその影響

薬の効果は文脈依存!? 侮れない文脈効果とその影響

【★☆☆(入門)】薬剤効果の多因子性における文脈効果について

2023/3/10

 薬の効果は、薬理学や病態生理学として理解されているような生物学的要因による効果と、服薬という行為や状況によってもたらされる社会・心理的要因による効果に分けることができます。後者は薬を飲む人の背景や心理的な影響と言ってもよく、これは「広義のプラセボ効果」と呼べるでしょう。
 つまり、薬の効果は生物学的要因に基づく薬の厳密な効果に加え、社会・心理的要因の影響が加わり、薬効感として僕たちに認識されます。薬効感という言葉が適切かどうかは分かりませんが、例えば厳密な薬の効果をEfficacyとするならば、薬効感はEffectivenessと表現できるように思います。
 Effectivenessにはプラセボ効果も含まれますが、自然治癒や偶然の影響など、純粋なプラセボ効果とは異質な要素も含まれています。したがって、「広義のプラセボ効果」は、「純粋なプラセボ効果」と、「その他の効果」に分けることが可能であり、「その他の効果」はさらに、ホーソン効果やピグマリオン効果、自然経過による心身状況の変化、遺伝的要因、社会環境などに細分化することができます。このように、薬の効果は多成分に分解可能な複雑な様相を呈しており、Medical Writing Worksでは薬剤効果の多因子性と呼んでいます。
 薬剤効果の多因子性は【図1】に示したモデルで捉えることが可能です。しかし、薬剤効果に占める各成分の割合は、服薬をする患者の背景や病状、投与される薬剤の種類や効果特性、用法用量などによっても変化し、厳密に定量化することは困難です。
【図1】薬剤効果の多因子性(青島.2022.ISBN-10:4621306901)
 一方、近年では薬剤効果の文脈依存性に注目した研究論文の報告も増えてきました。この記事では、薬の有効性に占める文脈効果の影響について考察してみたいと思います。

薬剤効果の多因子性を決定付ける要因

匿名で質問やリクエストを送る

※登録・ログインなしで利用できます

記事をサポートする

記事をサポートする

感謝・応援の気持ちのチップを送ることができます。 Medical Writing Worksの継続運営を支えましょう。

※登録・ログインなしで利用できます

メールアドレスだけでかんたん登録

  • 新着記事を受け取り見逃さない
  • 記事内容をそのままメールで読める
  • メール登録すると会員向け記事の閲覧も可能
あなたも Medy でニュースレターを投稿してみませんか?あなたも Medy でニュースレターを投稿してみませんか?