大規模データベースを用いた観察研究において、厳密なサンプル計算は必要なのでしょうか。Hernánは、「Causal analyses of existing databases: no power calculations required(データベースを用いた因果分析:検出力計算は不要)」と題した論文において、統計学的な検出力という概念にとらわれず、適切な効果量の推定とエビデンス蓄積を重視すべきと主張しました(Hernán, et al.2021; PMID: 34461211)。
一般的に、サンプル計算に基づくサンプルサイズの見積もりは、仮説検証型研究であるランダム化比較試験の一次アウトカムについて行われます。その意味で、仮説生成を主目的とした観察研究において、サンプル計算を行うことの必要性は乏しいと考えられます。
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今回の記事では、Hernánによる「サンプル計算の不要論」を解説したうえで、観察研究におけるサンプル計算の是非を考察したいと思います。