新型コロナウイルス症に罹患後、感染性が消失したにも関わらず、何らかの症状(いわゆるコロナ後遺症)を訴える患者さんは少なくありません。このような症状は、post COVID-19 conditionや、long COVIDなどと呼ばれていますが、そのメカニズムについては不明な部分も多いとされています(厚生労働省.2022)。
代表的な罹患後症状は、疲労感や倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳嗽、喀痰、息切れ、胸痛、睡眠障害などですが、症状は多岐にわたり個人差も大きいようです。筆者個人の経験では、倦怠感を訴える患者が多いように感じています。
新型コロナウイルス感染症に罹患し、退院した患者1733人を対象とした調査(Huang , et al.2021;PMID: 33428867)によれば、感染から6か月後において、倦怠感および筋力低下を訴える人は63%でした。罹患から半年を経ても6割近い人で倦怠感を感じていると事実は衝撃的です。日常生活に対する影響も、決して小さくないように思います。
この記事では、新型コロナウイルスの罹患後症状に関する主要論文を整理したうえで、罹患後症状の中でも有病頻度が高い倦怠感についてまとめます。
新型コロナウイルスの罹患後症状
「Post COVID-19 conditionとは、新型コロナウイルスの感染の可能性、または確定診断の既往がある人に起こる疾病と定義され、通常新型コロナウイルス感染症の発症から3ヵ月以内に発生し、少なくとも2ヵ月間続く症状や影響を伴うもの。Post COVID-19 conditionの症状および影響は、他の診断では説明できない」