減処方をめぐる倫理的緊張と臨床上の意思決定要因

減処方をめぐる倫理的緊張と臨床上の意思決定要因

【★★☆(中級)】薬物療法に対する価値観をめぐる“ジレンマ”

2023/10/30

目次
     いくつかの研究において、Deprescribing「医師の管理による、不適切またはもはや必要でない薬剤を減量または中止するプロセス」と定義されています(Green, et al,2022; PMID: 35661991/Reeve, et al.2014; PMID: 24661192/Scott, et al.2015; PMID: 25798731)
     Deprescribingに対する適切な訳語が未だ存在しないように思いますが、個人的には減処方と訳してきました。減処方は、医療倫理的な問題や、患者の生活環境と密接な接点を有し、臨床管理におけるケアの目標や、患者および家族の意思決定共有と強く関わっています。
     例えば、治療効果が限定的であるにもかかわらず、潜在的な有害事象リスクを抑えるために減処方を考慮すること(nonmaleficence)は、患者が微細な疾病リスクに対する最大限の関心を有している場合には、患者の価値観(あるいは選好)を脅かすものとして受け止められるかもしれません。  また、患者や医療システムにとって不必要な薬剤のコストに対処することは、これまでに治療を受けてきた人々とそうでない人々の間の不平等に疑問を投げかけるきっかけになることもありましょう。
     一方で、臨床研究の実施は、治療方針をめぐる意思決定に特化したエビデンスの生成に重点を置いているため、減処方の妥当性を評価できるエビデンスは限定的です。この記事では、減処方をめぐる倫理的緊張や、患者中心の意思決定という文脈における臨床医の価値認識について考察します。

    処方の妥当性をめぐる倫理的妥当性

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