アセトアミノフェンは、解熱鎮痛薬として医療現場で広く用いられている薬です。また、数多くの市販薬にも配合されており、私たちにとって身近な薬の一つと言えるでしょう。アセトアミノフェンは、同じく解熱鎮痛薬のNSAIDsとは異なり、抗炎症作用がほとんどないと考えられている一方で、胃や腸に対する副作用や心臓病リスクの懸念が少ないことから、安全性の高い薬というイメージが強いと思います。実際、一世紀以上にわたり、あらゆる年代の発熱や疼痛症状の緩和に用いられてきました。
ところが近年、アセトアミノフェンは「最も危険な薬剤の一つかもしれない」と言った趣旨の論文も散見されるようになってきました。この記事では、私たちに最も馴染みの深い薬の一つ、アセトアミノフェンの有害事象と、そのリスクについて解説します。