新型コロナウイルスやインフルエンザの感染拡大で、鎮咳薬や去痰薬の需要が増加している一方、これら薬剤の供給は増加しておらず、医療現場では薬の不足が問題となっています。むろん、これら薬剤の不足は今に始まったことではなく、後発医薬品を中心に、医薬品の出荷調整や流通悪化は数年前から常態化しています。
そのような中、『在庫不足の去痰薬・鎮咳薬、「1割」増産へ』と題されたニュース記事が、インターネット上で拡散されていました。
このニュース記事の内容について、様々な意見があろうかと思います。ただ、筆者の第一印象は、「健康の最適化を目指すことが優先される、あるいは健康状態の管理こそが重要という、現代社会を象徴している価値観の表出」でした。
「鎮咳薬を増産……」という理路は、極めて最適社会的な発想で、咳を制御したい(個人や社会の)欲求にあふれているように思えたのです。一方で、鎮咳薬にプラセボを超えるような何かは存在せず、それはある種の「物語」に基づく薬効感にすぎません(青島.2022)。人が、「物語」とは独立して健康を再定義できるよう、自律社会における新しい医療のグランドデザインが必要です。
この記事では、健康の定義に関する人類史を俯瞰したうえで、未来予測理論であるSINIC理論(立石.1970)を参照しながら、来るべき未来における健康の新しい定義を、生成AIのChatGPTと一緒に模索します。