ランダム化比較試験を模倣するtarget trial emulation。その方法論的妥当性は?

ランダム化比較試験を模倣するtarget trial emulation。その方法論的妥当性は?

【★★☆(中級)】target trial emulationの特徴とその限界

2023/5/15

 介入(治療)群と対照群の比較検証において、ランダム化比較試験は方法論的妥当性に優れた研究手法です。大規模な集団をランダム化することにより、予後因子が介入群と対照群の間で偏りなく分布することが、理論的に保証されるからです。
 一方、ランダム化比較試験の実施はコストや時間がかかるだけでなく、検討したい臨床課題によっては実施が非現実的なことも少なくありません。発生頻度が稀な有害事象の検討は、その代表例と言ってよいでしょう。このような臨床課題は、主に観察研究による検討に依存することになりますが、ランダム化が現実に実行できない観察研究は、交絡をはじめとした多様なバイアスの影響を強く受けることになります。
 そのような中、近年ではtarget trial emulationと呼ばれる観察研究の方法論が注目を集めています。target trial emulationとは、目標(target)となるランダム化比較試験(trial)を模倣(emulation)するようにデザイン化した、観察データの分析手法です(Hernán & Robins.2016;PMID: 26994063)
 この記事ではtarget trial emulationの具体的な方法論について解説し、ランダム化比較試験による検証結果との相違について考察したいと思います。

target trial emulationとは?

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