高齢化や医療化が進む先進諸国では、心不全の有病割合も増加しています(Savarese G,et al. 2023;PMID: 35150240)。日本においても、人口の高齢化に伴い、2030 年までに 心不全患者が130 万人に達すると予測されています(Okura Y, et al. 2008 ;PMID: 18296852)。
フロセミドに代表されるようなループ利尿薬は、心不全に関連したうっ血の除去に有効です。しかしながら、ループ利尿薬の漫然的な使用は、腎機能の悪化や電解質異常など、有害なアウトカムと関連する可能性があります(Magdy JS, et al.2022;PMID: 36479331/Felker GM, et al. 2009;PMID: 19750134)。
ループ利尿薬の代替、もしくは補完的な治療選択肢として、近年では漢方薬の五苓散に対する関心が高まっているようです。五苓散は、体液の恒常性を調整する目的で、日本においては長い臨床実績があります。
今回の記事では、心不全治療における五苓散の臨床的位置付けと有効性について、最新の研究報告をレビューします。