重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome;以下SFTS)は、ブニヤウイルス科フレボウイルスに属するSFTSウイルスによって引き起こされる感染症で、主にマダニによって媒介されると考えられています。
SFTSに感染すると発熱、消化器症状などをきたし、血液学的には血小板や白血球が減少します。その致死率は10〜30%と高く、これまで生命予後を改善し得る抗ウイルス薬は承認されていませんでした。
そのような中、2024年5月24日に開催された厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会において、ファビピラビル(アビガン®)の製造販売承認事項一部変更承認の可否、及び再審査期間の指定について議論が行われ、同薬をSFTSに対する治療薬として承認することが了承されました(厚生労働省.2024/日本経済新聞.2024.5.24)。
今回の記事では、SFTSに対するファビピラビルの有効性について、最新の研究論文をレビューしたいと思います。