公衆衛生における予防医療サービスの効果は、予防効果が得られた症例数や救命数で測定されることが一般的です。例えば、大腸がんのスクリーニングを実施した場合に、スクリーニングを受けた10万人あたり、2,000件の大腸がん症例が予防できた……などといった表現手法が用いられます。
しかし、このような頻度に関するデータからは、大腸がんという健康関連イベントが、どれほどの期間において先送りされたのかは分かりません。
予防とは、実際には何もイベントが発生していないこと同じであり、予防効果とは、健康状態における「平穏な時間」の獲得に他なりません。
余命の期待値が5年であったとしても、予後因子が異なれば、死亡が発生する時期は、12か月後にもなり得るし、20年後にもなり得るわけですね。
前回の記事では、死亡イベントなどの先延ばし効果を検討した研究論文をご紹介しました。これらの研究では、ピクセルカウント法と呼ばれる分析手法が用いられていましたよね。
今回の記事では、延命期間を分析する古典的な補法論、ピクセルカウント法の概要を深堀し、同手法のメリットとデメリットを解説します。