レガシー(Legacy)とは、“遺産”を意味する言葉ですが、ある世代から次の世代に引き継がれるもの、あるいは現在に影響を与えている過去の出来事のようなニュアンスも含んでいます。
薬物治療において、疾病の早期から適切な治療を行うことで、その後の臨床状態に良い影響をもたらす現象もまた、初期の治療効果が未来に引き継がれるという意味でレガシーです。実際、このような治療介入の効果はレガシー効果(Legacy effect)と呼ばれます。
レガシー効果は、糖尿病などの慢性疾患に対するリスク管理と、将来的な合併症の関連性において論じられることが多く、疾病の早期発見・早期治療を支持する論拠の一つです。
今回の記事では、レガシー効果の実態を整理したうえで、そのような効果が実在するのかどうかについて考察したいと思います。