医療者や患者の家族は、有効性を裏付ける質の高いエビデンスがなくとも、医学的ケアが患者の助けになっていると認識することがあります。治療文脈という「物語」が生み出すプラセボ的な効果は、患者や患者を取り巻く多様な利害関係者に「安心感」をもたらします。
医学的ケアを受ける患者と関わる人たち、あるいは患者が生活する環境との相互作用で生じる治療応答は、プロキシによるプラセボ効果(Placebo effect by proxy)と呼ばれます。この記事では、プロキシによるプラセボ効果の実態と、その臨床的活用における留意点について整理します。