どんなことでもエビデンスに基づける!?論文引用のピットフォール

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【★☆☆(入門)】学術論文における引用妥当性の問題

2023/11/17

目次
     世界的にも有名な医学誌「The New England Journal of Medicine」の元編集長であるFJ・インゲルフィンガーさんは、同誌に「Seduction by Citation」と題した社説を掲載しました(Ingelfinger.1976; PMID: 972662)。以下に、冒頭部分を翻訳してみます。
    医学を扱った本や冊子、論文の誌面には、読者を参考文献リストへと導く数字の上付き文字(またはそれに相当するもの)がふんだんに散りばめられている。このような参考文献の数字が数多く使われていると、学術的なオーラが漂うだけでなく、論文著者の主張の後に配置されることで、内容の妥当性がさりげなく示唆される。  しかし、気をつけなければならないのは、その小さな数字が、単なる信頼性の飾りかもしれないということだ。引用された一次資料が誤った引用であったり、文脈にまったく当てはまらなかったり、あるいは信頼性の低いものであったり、時には架空のものであったりすることもある(Ingelfinger.1976; PMID: 972662より筆者訳)。
     学術論文を引用することは、妥当性の高い情報コンテンツの構築において重要です。引用文献が明示されることで、コンテンツのアイディアや裏付けの根拠となった情報に対して、誰もが容易にアクセスできるからです。
     一方で、学術論文が適切に引用されているかどうかについては議論の余地があります。インゲルフィンガーさんが指摘するように、「Seduction by Citation」、すなわち引用を多用することによる「ある種の誘惑」は、コンテンツの利用者を欺くこと(すなわちトンデモ医療)と地続きかもしれません。
     エビデンスに基づく情報構築を重視するMedical Writing Worksにとっては、なかなかに苦しいテーマではありますが、この記事では学術論文の引用妥当性について考察します。

    医学論文における誤引用の実態

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