中年期の高血圧は、認知症のリスクを60%ほど増加させることが知られています(Gill Livingston, et al : 2020.PMID: 32738937)。一方で、高齢期になると、高血圧と認知症の関連性に一貫性がみられなくなり、関連性がほとんど認められないか、むしろ血圧が低いと認知症のリスクが増加する可能性が指摘されていました(Ya-Nan Ou, et al : 2020.PMID: 32450739 / Sean P Kennelly, et al : 2009.PMID: 19063999)。
また、血圧と認知症の関連性はU字型の相関であり、血圧が高くても低くても認知症のリスクと関連する可能性も報告されています(Kumar B Rajan, et al : 2018.PMID: 29637601)。
治療効果を検証するにあたり、質の高い研究手法であるランダム化比較試験において、高齢高血圧患者の血圧を下げることは、総じて有益である可能性が示されています。しかし、研究対象となった被験者の多くは、一般的な高齢者の3分の1に過ぎず、高齢高血圧患者の全てに研究結果を一般化できるかについては、医学界でも議論が交わされ続けています(Adam P Bress, et al : 2016.PMID: 26562046 / James P Sheppard, et al : 2020.PMID: 32898307)。
そのような中、高齢者の血圧と認知症の発症リスクを検討した研究論文が、米国医師会の内科専門誌(JAMA Intern Med)に、2021年12月13日付で掲載されました。