登録販売者は、2009年の薬事法改正によって規制緩和された一般用医薬品(以下OTC医薬品)を販売できる有資格者です。ただし、登録販売者が販売できるOTC医薬品は、第2類、および第3類に分類される医薬品に限られています。とはいえ、セルフメデュケーションが推進されている日本において、登録販売者が取り扱えるOTC医薬品も、その種類や数は増加していくように思います。
また、ドラックストアに対する消費者のニーズを分析した研究によれば、薬の説明、販売員のマナー、店舗の立地、という3つのソリューションに対する要性が浮き彫りとなっています(Minamida, et al.2018; PMID: 30200579)。
これらの社会背景を踏まえると、登録販売者の役割はますます重要になると思われます。一般社団法人 日本医薬品登録販売者協会が策定している「登録販売者の倫理規程と業務マニュアル」によれば、登録販売者の役割について、以下のように規定しています。
登録販売者は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (以下 、「薬機法 」という)における医薬品販売制度のもとにおいて、一般用医薬品販売の専門家として、以下の事項を実践することが期待されている。
1 科学的根拠に基づいた適正な情報提供や相談対応を行い、セルフメディケーションを適切に支援する役割。 2 一般用医薬品の適正販売等を確保する役割。 3 地域保健衛生向上のための施策について、常に率先 ・協力 し、その推進に努める。 4 健康の保全や増進に関する身近な相談相手 としての役割 を果たすとともに、行政機関及び関係団体と連携し、薬物乱用防止情報 、健康被害救済制度情報の普及など、積極的に医薬品等の適正な使用に関する啓発及び知識の普及に努める。
同マニュアルで規定されている登録販売者の役割は、薬剤師法の第1条における「薬剤師のミッション」と重なることは言うまでもありません。この記事では、OTC医薬品の販売実務に関する登録販売者の認識や現状について、最新の研究論文を踏まえながら考察したいと思います。