スタチン系薬剤のような、心血管疾患や死亡に対する予防的薬剤の効果について、従来の表現方法、すなわち相対危険度や絶対リスク減少、NNT(number needed to treat)などの統計指標は、必ずしも生活事象に馴染む言葉たちではありません。僕たちは、統計の世界で生活をしているわけではないからです。
予防的薬剤の効果を論じる際には、望ましくない臨床イベント、それは端的には死亡ですけども、これらのイベントがどれだけ先送りできるかを考えるほうが、より生活事象に近しいと考えられます。つまり、スタチン系薬剤を服用したら、スタチン系薬剤を服用しない場合と比べて、何日だけ延命できるのか?という視点です。
今回の記事では、心血管用薬を服用することで、どれほどの延命効果が得られるのか、あるいはどれほどの臨床イベントの先延ばし効果が得られるのかについて、エビデンスを踏まえながら考察してみたいと思います。