高血圧を有する認知症患者では、降圧薬をいつまで投与し続ければ良いですか?

高血圧を有する認知症患者では、降圧薬をいつまで投与し続ければ良いですか?

【★☆☆(入門)】認知症高血圧患者では、降圧薬を減薬すると有害事象が増える!?

2024/7/17

目次
     HYVET、SPRINT、STEPなど、血圧コントロールの有効性を検証したランダム化比較試験よれば、高齢者に対する厳格な血圧コントロール治療は、心血管イベントや総死亡のリスクの低下と関連していることが示されています(Beckett, et al.2008; PMID: 18378519/Wright, et al.2015; PMID: 26551272/Zhang, et al.2021; PMID: 34491661)
     一方で、コホート研究などの観察研究においては、身体的および認知的に障害のある高齢者において、降圧治療中の低血圧が、認知機能の低下や、死亡リスクの増加に関連している可能性を報告しています(Benetos, et al.2015; PMID: 25685919/Mossello, et al.2015; PMID: 25730775/Streit, et al.2018; PMID: 29741555)
     また、認知症患者では、病状進行とともに収縮期血圧の低下を認めることも多く、認知症患者に対する降圧療法は、低血圧転倒などの有害事象リスクを増加させる懸念があります(Welsh, et al.2019; PMID: 31109906)
     認知症患者における降圧療法ではまた、行動・心理症状(BPSD)の発症リスクが高まる可能性も報告されており、生活の質を損ねる大きな要因となるでしょう(Steinberg, et al. 2014; PMID: 23681754/Shin, et al.2005; PMID: 15956266)
     それゆえ、高血圧の診断を受けている認知症患者においては、認知症の進行とともに、降圧薬の中止を積極的に検討すべきなのかもしれません。  今回の記事では、認知症を有する高齢者を対象に、降圧薬の投与中止がもたらす影響を検証したDANTON試験の概要をご紹介し、認知症患者における降圧療法の是非を考察したいと思います。

    DANTON試験では何を検証したの?

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