緊張や不安などが原因で神経が高ぶり、寝つきが悪くなることは、誰しもが経験のある身近な健康問題の一つだと思います。寝付けないことでさらに神経が高ぶってしまい、さらに目がさえてしまうこともあるでしょう。十分な睡眠がとれないことは、日中の集中力やパフォーマンスに影響を及ぼし、生活の質も大きく低下します。
一時的な不眠症状の緩和に効果ができるOTC医薬品として、ジフェンヒドラミンを配合した睡眠改善薬(ドリエル🄬他)を挙げることができます。ただし、同薬は高齢者や排尿困難のある人、緑内障や前立腺肥大症の診断を受けた人では副作用が出やすく、安易に販売しにくい薬剤と言えるかもしれません。
添付文書上の規制という観点からすれば、抑肝散を配合したOTC医薬品は、不眠を訴えるお客さんに対して販売を考慮しやすい薬だと思います。近年では、抑肝散の濃縮液を配合したアロパノール®メディカル液のような、1回1本の飲み切りタイプの液剤も販売されており、販売対応の選択肢も広がっています。
ただし、抑肝散を配合したOTC医薬品の添付文書には、「相談すること」の項目に、「胃腸に弱い人」という記載があります。今回の記事では、胃腸の弱い人に対する抑肝散製剤の考え方と、不眠に対する抑肝散のエビデンスを整理します。