日本を含め、先進諸国では急速な高齢化が進んでおり、世界人口に占める高齢者の割合は2050年までに2割にのぼる……との試算さえあります(Dzau, et al.2019; PMID: 31633895)。
高齢化は身体的機能や認知機能の低下のみならず、慢性疾患および精神疾患の管理等、健康状態の悪化を伴うことが一般的であり、個人、家族、そして社会的にも疾病負荷が増大します。そのため、先進諸国では「健康的な高齢化」を達成すべく、予防的な医療の推進や、健康に関するステートメントの発出・国民への啓蒙などが行われています。
このことはまた、健康のために生活習慣や生活環境を管理することで、より疾病負荷を減らすことに関心が高まっていると言っても良いでしょう。一方で、日常生活おける健康のリスク管理は、将来的な健康状態の維持・改善に有効であったとしても、生活の豊かさ(生活の質)を損ねる可能性があります。
今回の記事では、生活習慣と健康的な老化の関連性を検討した最新の研究論文を解説したうえで、生活習慣の是正介入がもたらし得る、生活にとっての負の側面を考察したいと思います。