近年では、TwitterなどのSNSでも、「ちゃんと論文を読んでいるの?」なんてツイートを目にする機会も増えたように感じます。医療や健康情報に関する文脈での「論文(医学論文)」ということですが、「論文を読んでいる」と言っても、どんな論文を読んでいるかという問題は、あまり重視されていないように感じます。
とりわけ新型コロナウイルスに関する論文情報は、短期間のうちに目まぐるしく更新され、指数関数的に報告数が増加しました。そのような中で、日常生活に強く影響を与えるような論文は限られており、特に研究デザインを適切に把握して、優先的に読むべき論文の順位付けをしなくては、効率よく論文情報を処理できません。
Medical Writing Worksでは、いわゆる医学論文を【図1】のように分類しています。治療に関する疑問については、仮説検証型のランダム化比較試験を最優先で参照し、仮説生成型の介入研究やシステマティックレビュー・メタ分析の論文、あるいは基礎医学系の論文はあまり重要視しません。
システマティックレビュー・メタ分析と言えば、質の高いエビデンスをイメージする方も多いと思います。しかし、【図1】に示したように、解析に組み入れられる研究の方法論的妥当性によっては、仮説検証型のランダム化比較試験と同等レベルの妥当性を維持できないケースも少なくありません。
特に、新規性の高い臨床課題では、方法論的妥当性に優れた大規模臨床試験が行われていないことも多く、小規模研究を寄せ集めたメタ分析の結果が多々報告されます。しかし、小規模研究のメタ分析の結果は、様々なバイアスの影響下にあることが知られています。この記事では、小規模研究のメタ分析で問題となる「small study effect」と、その評価方法について解説します。