動脈硬化性疾患に対する脂質異常改善薬の効果は、スタチン系薬剤を除けば、有効性を示唆する質の高いエビデンスが限定的でした。
とりわけ、高トリグリセリド血症に用いられるフィブラート系薬剤やn-3系不飽和脂肪酸については、動脈硬化性疾患を予防できるとしたエビデンスに乏しく、これら薬剤を積極的に用いることの合理性は少ないように思われます。
そのような中、糖尿病網膜症に対するフェノフィブラートの有効性を検証したLENS試験、心血管疾患の二次予防に対するイコサペンタエン酸の有効性を検証したRESPECT-EPA試験の結果が相次いで報告されました。
今回の記事では、両試験の概要および、研究結果を解釈する上で着目したい論点を解説します。また、これらの研究結果を踏まえ、心血管疾患のリスク管理に関わる共同意思決定(Shared decision-making)ついて、「薬の現象学的」考察をしてみたいと思います。やや長文ですが、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。