高額な薬価、製薬企業の研究開発費を回収するという名目で正当化できる?

高額な薬価、製薬企業の研究開発費を回収するという名目で正当化できる?

【★★☆(中級)】新薬の追加的ベネフィトの大きさと薬価、研究開発コストの関連性

2024/3/6

目次
     がんに対する薬物治療の進歩は目覚ましく、治療薬の選択肢も大きく広がっています。当然ながら、製薬会社による抗がん剤の開発費用も増加の一途を辿っており、企業が支出した増分のコスト(費用)は、高額な薬価が設定されることにより回収が図られます。
     なお、がん治療関連の支出は、全世界で2020年の1,670億ドルから、2025年には2,690億ドルに増加すると予測されていますGlobal Oncology Trends 2021【図1】。
    【図1】がん治療に関連する世界的支出Global Oncology Trends 2021より引用)
     がん治療においては、有効な治療法に乏しい臨床課題も多く、また長期的な予後の検証することが困難な治療法も少なくありません。そのため、一部の抗がん剤は条件付き承認制度などによって、患者に対するアクセスを優先させ、包括的なエビデンスに基づくことなく承認される場合もあります(参考:医薬品の条件付き承認制度
     つまり、高額な薬価に見合うだけのベネフィットが、質の高いエビデンスに裏付けられていなくても、臨床で使用されている実態が存在し得るのです。  高額な薬価の設定は、優れた臨床効果と引き換えに、製薬企業の研究開発費を回収するという名目で正当化されています。しかし、このような薬価の設定に経済的合理性は存在するのだろうか……、という疑問が生じないわけではありません。
     この記事では、新規の抗がん薬に関するベネフィットと、製薬会社における研究開発費の関係性や、その経済的な合理性について考察したいと思います。

    新薬に対する医療技術評価と規制当局による評価のギャップ

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