産後うつ病は、出産を経験した女性における深刻な健康問題の一つです。産後女性における死亡原因の多くは、産後うつ病関連の自死という現実があります(Yu, et al.2021; PMID: 34211407/Anokye, et al.2018; PMID: 29760762)。
海外では、産後うつ病の治療薬として、zuranolone(ズラノロン)が承認されており、日本でも早期承認が期待されます。
【参考】【新薬レポート】神経活性GABA_A受容体ポジティブアロステリックモジュレーター:ズラノロンとは?
産後うつ病は、女性に特有の疾患であると考えられがちですが、男性にも罹患のリスクがあります。また、夫婦におけるうつ症状が相互に悪影響を与える可能性もあるでしょう。しかしながら、子の出生後における父親のうつ症状や、夫婦におけるうつ症状の相互作用について、質の高い研究データは限られていました。
今回の記事では、産後うつ病における症状の軌跡について、10年にわたり追跡調査を行ったコホート研究の結果(Kubo T, et al. 2024;PMID: 39357676)を踏まえながら、子の出生後における両親のメンタルヘルスについて考察します。