高血圧や脂質異常症、糖尿病などの慢性疾患は、心血管疾患の危険因子として知られています。また、これら疾患を合併している人の割合は決して低くありません。
心血管リスクを厳格に管理する上では、食事や運動等の生活習慣の是正に加え、降圧薬やスタチン系薬剤、SGLT2阻害薬などの、心血管疾患予防薬(以下、心血管用薬)の服用が有用だと考えられています。
一方で、心血管用薬の服薬アドヒアランスは、必ずしも高くありません。ただし、服薬アドヒアランスに関するこれまでの研究は、単一疾患患者を対象とした研究が多い上、薬剤カテゴリーごとの服薬アドヒアランスの差異に着目した検討は限定的でした。
そのような中、複数の慢性疾患を有する日本人を対象に、心血管用薬の服薬アドヒアランスを調査したコホート研究の結果が報告されました(Matsumoto M, et al.2024. PMID: 39145400)。
今回の記事では、本研究の結果に基づき、薬剤カテゴリーごとの服薬アドヒアランスの差異に着目しながら、健康リスクに対する関心の向け方について考察したいと思います。