紅麹サプリメントに関連した健康被害が拡大している中で、機能性表示食品の安全性に対する関心も高まっているように思います。
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当)の自見英子氏は、2024年3月26日の記者会見において、全ての機能性表示食品(約6700品目)について、安全性の確認等を含む緊急点検の実施を示唆しました。
機能性表示食品制度は、2015年に開始された健康食品に関わる規制緩和策の一つと考えて良いでしょう。食品製造業者が機能性表示食品を新規に販売する場合、厚生労働省や消費者庁など、規制当局の承認審査は不要です。
必要書類に加え、健康に関する機能的効果が期待できる科学的根拠を消費者庁に届け出て、同庁が受理(書類の不備の有無等を確認)をすれば、機能性を表示できる食品として製造販売できるようになります。
健康に関する機能的効果が期待できる科学的根拠としては、ランダム化比較試験などの臨床試験のみならず、システマティックレレビューでも可能とされています。つまり、食品製造業者は、莫大なコストがかかる臨床試験を実施せずとも、機能性に関わる科学的根拠をシステマティックレビューによって示すことができれば良いのです。
一方で、そのレビューの質に関しては議論の余地も大きく、機能性を裏付ける根拠の妥当性は必ずしも高くありません。
【参考】増加し続ける機能性表示食品、その機能性を裏付ける科学的根拠の質は?
今回の記事では、機能性表示食品の届け出に添付されたシステマティックレビューの質について深堀し、機能性表示食品制度における今後の課題を考察したいと思います。