先日、ポリファーマシーの害に関してTwitterに投稿したところ、リプライにてご質問を頂きました。当該ツイートは以下の投稿です。
最近はポリファーマシーの害、見たいな話をあまり聞かなくなったけど、まだあれなんすかね。ポリファーマシーの害も結局のところ、コンパレータの想定が「ぬるい」としか言いようがないよね。そりゃ、薬だけ減らしても予後は改善せんという。観察研究における比較対照群の設定が如何に重要か。
「コンパレータ」とはcomparatorを適当にローマ字読みしただけなのですけど、疫学の文脈では曝露集団と比較をするための対照集団を意味します。ご質問は『コンパレータの想定が「ぬるい」としか言いようがない』の「ぬるい」ってどういうことでしょう?という内容でした。
むろん、当該ツイートには様々な誤解の余地が含まれています。この投稿は公衆衛生上の文脈を想定しており、個別の症例におけるポリファーマシー介入の是非ではありません。
コホート研究のように曝露群と対照群を比較する観察研究においては、対照群をどう設定するかによって、解析結果に入り込むバイアスの余地が大きく変化します。この記事では、対照群の設定がコホート研究の結果にどのような影響を及ぼし得るのか、ポリファーマシーの害について、コンパレータの設定がなぜ「ぬるい」のかについて解説します。