不適切な多重検定(αインフレーション)を論文情報から読み解くコツ

不適切な多重検定(αインフレーション)を論文情報から読み解くコツ

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2023/3/13

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 早速ご質問を頂きましたので回答させていただきます。今回は論文の読み方に関する疑問です。
オルトメディコ(https://www.orthomedico.jp/)のような会社が請け負った、多重検定の問題の可能性がある研究は、発表された論文から見分けられるのでしょうか?
 Twitter等のSNSで物議を醸しだしている株式会社オルトメディコ(東京都文京区)。臨床試験の受託運営を行っている同社ですが、「業界初!有意差、完全保証!!ヒト臨床試験有意差保証プラン」のコピーに加え「オルトメディコのノウハウを駆使すれば必ず有意差を出せます!」と明記されたウェブページが注目を集めています。
 そもそも、確実に統計的有意差が出るような課題は、科学的探究のテーマとしては低価値であり、多重検定の問題があろうがなかろうが、解析結果としてはナンセンスな印象もあります。例えば、パラシュートの装着で死亡リスクが減るという研究テーマに対して、「必ず有意差が出せます」と言っているようなものでしょう。
 株式会社オルトメディコの「ヒト臨床試験有意差保証プラン」を詳しく見てみますと、「ヒト臨床試験で有意差が出なかったら、無償で再度ヒト臨床試験を実施いたします」と記載があり、基本的にはプロトコルの変更は行わず、研究そのものはUMIN-CTR(臨床試験登録システム)に事前登録されるようです。
 再試験する場合も再度IRBを行い、UMIN-CTRに再登録するため、主要アウトカムで有意差が検出されなかった試験の記録がなくなるわけではないようです。したがって、同社が手掛けた論文に必ずしも多重検定の問題が発生しているわけではないのでしょう(むろん、その懸念は払拭されませんが……)。
 この記事では、多重検定の問題の可能性がある研究を、論文情報からどのように読み解けば良いのかについて解説します。

多重検定とαインフレーションの問題 

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