エパデール🄬やロトリガ🄬など、n-3系不飽和脂肪酸製剤の添付文書には、臨床使用に基づく情報として以下のような記載があります。
本剤と同一有効成分(4g/日)を含有する製剤の海外臨床試験において、心房細動又は心房粗動のリスク増加が認められたとの報告がある。
引用文献は、高用量イコサペント酸エチル製剤の有効性を検証したREDUCE-IT試験です(Bhatt, et al.2019; PMID: 30415628)。この研究において、心房細動や心房粗動による入院割合は、プラセボ投与群の2.1%に対して、イコサペント酸エチル投与群で3.1%と、統計学的にも有意に高いことが示されています(P=0.004)。
ただし、REDUCE-IT試験の一次アウトカムは心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、冠血行再建術、不安定狭心症の複合アウトカムであって、心房細動もしくは心房粗動ではありません。つまり、添付文書に記載されている「心房細動又は心房粗動のリスク増加」はあくまでも仮説にすぎません。
むろん、仮説であっても、薬物有害事象を軽視すべきではないでしょう。今回の記事では、n3系不飽和脂肪酸製剤と心房細動(もしくは心房粗動)の関連性をレビューしたいと思います。