シオノギヘルスケア株式会社は、皮膚修復成分と殺菌成分を配合したストロングステロイド外用剤、「リンデロンVsプレミアム軟膏/クリーム(指定第2類医薬品)」を8月22日より発売しました(シオノギヘルスケア株式会社2024年8月22日)【図1】【図2】。
【図1】リンデロンVsプレミアム軟膏の商品パッケージ
【図2】リンデロンVsプレミアムクリームの商品パッケージ
ストロングクラスのステロイドであるベタメタゾン吉草酸エステルに加え、皮膚修復成分としてアラントインおよびトコフェロール酢酸エステル、殺菌成分としてイソプロピルメチルフェノールを配合した同製品は、「同じような症状を繰り返す」 「症状が強い」 「症状の見た目が気になる」といった市場ニーズに対応すべく、製品開発が行われたようです(シオノギヘルスケア株式会社2024年8月22日)。
端的には、皮膚修復成分を配合することで、損傷皮膚の治療を促進し、痕残りを防ぐという論理です【図3】。一方、殺菌剤の配合意図は不明であり、配合した方が良いような雰囲気……の中で製品開発が行われたのでしょうか。
イソプロピルメチルフェノールについて、同製品の製剤添付文書には「皮膚への殺菌作用により、感染による悪化を防ぐ」といった記載があるようです。しかし、まさか本気で感染予防を期待しているわけではないでしょう。
同成分の配合は、典型的な潜在的不適切処方と言っても差し支えない印象を持ってしまうのは筆者だけでしょうか。
今回の記事では、アラントインやトコフェロール酢酸エステルを外用剤に配合することで、傷んだ皮膚組織の修復が促され、痕残りを軽減できるのかに関するエビデンスを整理し、販売実務上のロジックをまとめたいと思います。