新型コロナウイルスのパンデミックは、人々の日常生活に大きな影響を及ぼしました。2023年11月3日の時点において、世界で7690万件を超える新型コロナウイルス感染が確認され、同感染症による死亡者数は690万人を超えています(WHO COVID-19ダッシュボード)。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑止する目的で、マスクの着用が広く推奨されたことは記憶に新しいと思います。一方、感染予防に対するマスクの効果については、質の高い研究データが限られており、公衆衛生上のメリットについて、議論の余地も多く残されていました。
2023年1月に報告されたコクランのシステマティックレビュー・メタ分析では、呼吸器感染症の予防に対するマスク着用の効果は不確実性が大きく、感染症の発症リスクに対する有効性は示されませんでした(Jefferson, et al.2023; PMID: 36715243)。
【参考】マスクは効果なし!?コクランが認めたって本当?
そのような中、呼吸器感染症の予防に対するサージカルマスクの有効性を検証したランダム化比較試験の結果が報告されました(Solberg RB, et al. 2024 ;PMID: 39048132)。
今回の記事では、本研究の概要と結果を解説したうえで、感染予防に対するマスクの効果について考察してみたいと思います。