JAMA Netw Open誌に、抗精神病薬誘発性アカシジアに対する薬物療法の有効性を比較したネットワークメタ分析の結果が、2024年5月4日付で掲載されました(Gerolymos C,et al. 2024; PMID: 38451521)。
ランダム化比較試験15件(研究参加者492人)を分析したこの研究では、プラセボの投与と比べて、ミルタザピン、ビペリデン、ビタミンB6、トラゾドン、ミアンセリン、プロプラノロールの投与で、アカシジアの改善に優れていました。
本解析において、有効性が最も高いと見積もられた薬剤はミルタザピンで、次いでビペリデン、ビタミン B 6、シプロヘプタジン、トラゾドンと続きます【図1】。
【図1】抗精神病薬誘発性アカシジアに対する改善効果のRankogram(Gerolymos C,et al. 2024; PMID: 38451521より引用)
治療効果のランク付けは、SUCRA(surface under the cumulative ranking)と呼ばれる解析手法に基づいています。SUCRAは、ネットワークメタ分析において評価された、複数の治療法に関する効果の順位付けを行うための指標です。
端的には、複数の治療間で期待される効果が1位になる確率、2位になる確率、3位になる確率……と、順位ごとの確率を見積もり、当該確率の累積分布曲線下面積を用いて算出されます(Salanti G, et al.2011; PMID: 20688472)。
今回の記事では、SUCRAに関する基本的な知識を整理したうえで、同指標に対する実務上の解釈を考察します。