便秘は、身近な健康問題の一つですが、人によって症状に対する価値認識は異なります。その意味では、便秘症という客観的な事実があるようよりはむしろ、便秘感といった個別の現象が存在するに過ぎない側面を指摘できます。
いくつかのガイドライン(ローマ基準のような)において、便秘の客観的な定義付けがなされているにも関わらず、便秘の実態は捉えどころの少ない曖昧な健康問題と言えるかもしれません。それゆえ、便秘に対する治療法はバリエーションに富んでおり、いわゆる民間療法的な治療から、医療機関から処方される医薬品まで多様です。加えて、それぞれの治療法に対する便秘患者の満足度もまた、その一貫性に乏しい側面があります。
今回の記事では、便秘治療に対する患者の満足度が、どのような要因によって影響を受けるのかを検討した研究(Yamamoto S,et al. 2024;PMID: 38892926)をご紹介し、便秘に対する薬物療法との接点を考察します。