2024年7月22日付で、厚生労働省より「ポリファーマシー対策の始め方と進め方」に関する通知が発出されています(厚生労働省.2024)。ポリファーマシーに関する対策をまとめた同通知には、病院と地域の2つのバージョンがあり、その全文をPDFで閲覧することができます。
地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001277340.pdf
病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001277339.pdf
正直なところ、中身の目新しさはない印象です。「ポリファーマシーは対策すべきもの」という価値観は、あくまでも医療経済的な観点を基盤とした考え方であり、多剤併用に関わる問題の解消と、患者志向は別問題です。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」の発刊から9年を経た現在においても、このことに対する理解は希薄であると感じてしまうのは筆者だけでしょうか。
一方で、疫学的な研究データは、ポリファーマシーに対する介入を行っても、臨床アウトカムに何ら影響を与えない可能性を量産し続けています。そのような中で、ポリファーマシーや不適切処方に関連した新しいランダム化比較試験の結果が、JAMA open誌に掲載されていましたので、あらためてレビューしてみたいと思います。