アンケート調査などに回答する際、正確で正直な回答をするよりも、社会的に受け入れられやすい、または社会的に望ましい内容で回答する傾向を、社会的望ましさバイアス(Social-desirability bias)と呼びます。
社会的望ましさバイアスは、他人を喜ばせたいという回答者の想い、反社会的な回答内容に対する批判への恐怖、自己のイメージや評判に対する懸念など、さまざまな感情や思惑によって生じます。
臨床医学に関する研究においても、社会的望ましさバイアスの影響によって、解析結果の妥当性が低下することも少なくありません。違法薬物等の使用実態や、極めてプライベートな習慣などに関する調査・研究においては、社会的望ましさバイアスの生じる余地が大きいといえるでしょう。観察研究のみならず、ランダム化比較試験でも同バイアスが問題となることもあります。
この記事では、社会的望ましさバイアスの概要とその決定要因を解説したうえで、実際の医学研究で示唆された同バイアスの影響についてご紹介します。