一般的に、小規模症例を対象としたランダム化比較試験の結果は、大規模症例を対象としたランダム化比較試験(大規模臨床試験)の結果と比べて、介入効果を過大に評価しやすいと考えられています。
【参考】メタ分析におけるsmall study effectの問題と、その評価方法
実際、ランダム化比較試験93研究を対象としたメタ疫学的研究では、症例規模が大きな研究のメタ分析と比較して、症例規模が小さな研究のメタ分析で、介入治療に対する効果推定値が増加しました(Dechartres A, et al.2013; PMID: 23616031)。
この関連性は、サンプルサイズ、つまり統計解析に必要な症例数の見積もりとは関係なく生じており、小規模症例を対象としたランダム化比較試験や、そのメタ分析の結果については、治療効果が過大評価されている可能性を指摘できるわけです。
症例規模が小さなランダム化比較試験のメタ分析結果が過大評価される理由として、出版バイアス、アウトカムの報告に関するバイアス、臨床的な異質性を挙げることができます(Hong C, et al. 2020. PMID: 32720712)。
一方、症例規模が大きいランダム化比較試験の実施には、研究コスト、人的労力、倫理面などの制約事項も多く、大規模臨床試験の結果が報告されている臨床課題は限定てきです。それゆえ、症例規模の大きさと、介入治療の効果量の関連性について、一貫した結論や精密なコンセンサスを得ることも容易ではありません。
今回の記事では、ランダム化比較試験の症例規模と、研究結果の妥当性について、文献的考察を深めたいと思います。