Medical Writing Worksでは、ご利用者さまからの質問を募集中です!募集する質問や疑問のカテゴリーは以下の3つです。
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早速ご質問を頂きましたので回答させていただきます。今回は、研究手法に関する疑問です。
メタアナリシスでのfixed effect model と random‒effects model の違いは何でしょう。論文を読むうえで注意すべき点はありますでしょうか。また、一緒に異質性の議論も出てくると思うので、これも併せてご解説いただければと思います。
メタ分析は、個々の研究から得られた定量的な統計データを統合する分析手法です。一般的に、データを統合する方法には、単純平均(simple average)と加重平均(weighted average)の2種類があります。
データを単純に足し合わせてデータ数で除する単純平均は、データの統合をイメージしやすい一方、Simpson's Paradoxと呼ばれる数学的矛盾が生じることもあります(Rücker, et al. 2008. PMID: 18513392)。
メタ分析におけるSimpson's Paradoxとは、個々の研究では一貫した関連が見られるにもかかわらず、データを統合すると逆の関連が現れる現象と考えていただいて大きな誤りはありません。そのため、メタ分析を実施する際には加重平均を用いて、複数のデータを統合します。
メタ分析で用いる加重平均の手法には、❶Fixed effects model(固定効果モデル)、❷ Random effects model (ランダム効果モデル)の2種類があります。今回の記事では、メタ分析の異質性を解説したうえで、加重平均における2つの手法の違いを論じます。