新型コロナウイルス感染症の発熱緩和や重症化の抑制に、漢方薬が有効との研究を紹介したマスメディアの記事が、SNS上で関心を集めていました。同記事では、新型コロナウイルス感染症患者に、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を投与すると、「回復が早く、酸素吸入を必要とする重度の呼吸不全へのリスクが低かった」と報じています(河北新報オンライン. 2022年12月2日)。
Twitter上では、塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス治療薬のエンシトレルビル(ゾコーバ)よりも効果があるのではないか? 安いし、安全性も高いし、重症化リスクない患者には漢方薬で良いのでは? といった趣旨ツイートが数千件のリツイートを得る一方で、漢方薬の副作用は侮れず、安易に服用させるべきではないといった趣旨のツイートも散見されます。関連ワードの「東北大医のチーム」はTwitterのトレンドにも入りました。
この記事では、新型コロナウイルス感染症に対する葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の併用投与の有効性を検証した研究について、原著論文を読み解きながら、メディアから発信される情報と一次情報のギャップ、そして情報発信者の倫理性について考察します。